あなたの「好きなこと」は何ですか?

 

例えば、寝る時間も惜しんで成し遂げたいことや、時間を忘れてしまうほど夢中になってしまうことはありますか?

 

大人になった今でも思わずワクワクしてしまうのは、どんな瞬間でしょうか。

 

今回お話を聞いたのは、自分の興味関心を貫いた結果、それがお仕事になった方。江畑千春さん、28歳。

彼の肩書きは『トータルアートクリエイター』。

写真家、空間 Webデザイナー、DJとして活動しながら、週5日、デザイナー・建築会社で正社員として働くサラリーマンです。

『十人十色が活きる世界をつくる』

自分の生活スタイルを貫く、江畑さんが叶えたい夢。

​SNS、DJ、サイレントディスコ​

もともと音楽が好きで、独学で音楽編集やDJ活動をしていた江畑さん。茨城の高校を卒業してからはそのまま地元で働き、茨城県内でたまに音楽イベントに参加していたそう。

 

 

「人生が大きく変わったのは、27歳のとき」

 

音楽関連の情報収集のためにSNSをはじめたことがキッカケだった。

 

「登録した途端、色んな情報が次々と入ってきて。そのうち“DJ出演者募集”ってツイートが流れてきて。それまでずっと趣味でやってきたものを、チャンスがあるなら外に向けて発信してみたいって思って」

 

彼が応募したのはワイヤレスヘッドホンを使用したフェスを展開する”Silent it”のイベント。ヘッドホンを通して音を送ることで、野外でも騒音が出ない。普段はライブのできない屋内でのイベントだって実現可能なフェスを展開している。

 

 

彼はちょうどその頃、映像と音楽を組み合わせたDJスタイルのライブを行っていた。

 

 

「お客さんが流れる映像に注目してくれるのは嬉しかったんだけど、音よりも視覚的な映像に集中しているような気もして。作り込んだ音をもっと聞いてほしいなぁなんて思っていた頃だった。だから、音をダイレクトに届けられるヘッドホンを使用したライブは自分の届けたい音にピッタリだと思った」

​(Photo by Aoi L)

2015年8月、横浜で開催されたイベントにDJとして参加。

 

「SNSをキッカケに、どんどん動いていった」

 

1年間の間に、週末になると茨城と都内を往復する生活になり、月に何度も高速バスで東京に出た。フェスに参加し、フェスもつくった。

 

自分の世界を表現したくて、写真もはじめ、撮り続けた。

音作りも、写真加工も、Web作成も全て独学。

 

彼の生み出すそれぞれが、オリジナル作品となって一つになっていく。

 

「上手いDJなら他にいっぱいいる。そんな中で自分をチームに入れてくれた意味を考えていると、普通のDJでいては貢献できない。映像や音楽を組み合わせて空間を作っていくことが自分にできるDJスタイルなのかもしれないと思っている」

 

今ハマっているのは、360度四方を囲まれたようなリアルな音が体感できる「バイノーラル音源」。彼は今この音源を独学でつくりだしている。彼によると、密閉されたヘッドホンだからこそ、よりリアルな音を届けることができるという。サイレントディスコの強みだ。そこに、ヘッドホンを使用する意味があるとたのしそうに話す。

 

彼はのちに、Silent it代表とともに「フェスで未来をそうぞうする会社」OZONE(2016年、合同会社)を設立する。

アイディアが止まらない。

月~金まで会社に勤め、帰宅後は個人活動の写真編集や創作活動に明け暮れ、睡眠時間は毎日4時間程度。イベント出演や写真撮影など、毎週のように茨城-東京間を往復している。はたから見ると大変そうな毎日だが「楽しい」と彼は笑う。

 

そして、彼の活動は徐々に務める会社にも認められていく。

 

「元々、今の会社は副業禁止だったんだよね。

 

でも、自分の活動を伝えていくうちに認めてもらえるようになって。趣味で続けていた写真撮影や映像技術も、販促物の写真撮影とか、展示場の空間デザインとか、少しずつ会社で仕事も頼まれるようになってきて」

 

先日、彼が会社で使用しているPCに画像・映像編集ソフトが入った。

 

「映像はこれまで手をつけたことはなかったけど、せっかくだからやってみたいなと思って。PCソフトにしても、会社側がある程度の利益を見込んで導入してくれたものだと思っている。環境を整えてもらったからには色んなものを作っていきたい」

 

「これを機に、自分のキャパシティを広げていけるかなーって。ありがたいよね」

 

 

アイディアが止まらない。

彼を言い表すには、こんな一文がぴったりかもしれない。

 

彼はよく笑う。「こういうのもやってみたいんだよね、例えばさ・・・」楽しそうに、本当に楽しそうにアイディアが溢れ出てくるようで「やりたいことがありすぎて、時間が足りない」と、この時もまた笑っていた。

​平日会社員。週末DJ、ときどき写真家

単純に、DJの仕事やフリーで独立できそうなほどの仕事のある彼に、なぜ生活の拠点を東京に移さないのかと尋ねたことがある。

 

 

「茨城ってさ、ずっと魅力度ランキング最下位なんだよ。

 

でも、いいところなんだよ。自然もあるし、それに近くに家族がいて、友人もいる。

彼らがいなければ、今の自分にはなっていないし。刺激的な東京は魅力的だけど、地元を捨てて東京に、と単純にはそうは思えないんだよね」

 

茨城を離れてしまう理由があるなら、茨城を愛せる場を自分たちの手でつくりたい、と彼は話す。

 

そして2016年に実際に、クラブを舞台にしたアートイベント『SARTS』、茨城県日立駅を舞台にした『cocokaraフェス』と、二つのイベントを開催している。

 

 

「一回しかない人生、新しいものを生み出して行きたいし、そうやって自由に表現していいんだって伝えていきたい。

 

一人で、フェスをつくることに憧れを持ちながらも実現できていなかったような、そんな人たちとフェスをつくっていきたい。みんなで楽しいことやって。茨城県の魅力、一つでも上がったら嬉しいわぁ」

 

 

彼は、クリエイターが生み出す作品への敬意が高い。クリエイターが作品にこめた想いを考えながら楽しめるように、魅せ方を丁寧に考え、かつスピーディに確実に表現していく

 

彼は常に考える。

このチームで自分に求められていることは何か?この音をヘッドフォンで届ける意味は?今の自分が他者へ伝えられることは何か?

 

なぜ、自分を選んでくれたのか?

 

溢れるアイディアを、自身の世界観として他者が体感できる形に表しながら、彼はつねに考えている。社会に向けて、自分はどんな影響を与えられるのかを。

 

毎週末のように東京と茨城を往復している彼は、この日も最終バスで茨城に帰った。

 

「この人にできるんだったら自分にもできるかな、って思ってもらえたら嬉しい。だから、20代のうちにもっともっといろんなことを吸収して、発信していきたい。『20代がつくるフェス』を残していきたい。30歳になるまであと2年。もっともっと忙しくしたい」

 

 

彼に贈った花は、真っ白な芍薬。花言葉は“清浄”

 

自分を信じて、周囲を巻き込んで前に進んでいく江畑さん。

まっすぐに、止まらないアイディアを形にしつづける。

仕事とは、人のために動くこと。

だからこそ、もっと自由に働ける仕組みが必要なのかもしれない。

 

自分のこころにまっすぐに、思いを表現できる場を。自分のスタイルを貫いて、

いつかもっと沢山の人が自由に自分を解放できるように。

 

「十人十色が活きる世界をつくる」

28歳、江畑さんの夢。

「十人十色が活きる世界をつくる」
​−No.43 江畑 千春
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