わたしたち
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「100夢、まだ空いてますか?」
そんなメッセージをくれたのは、河住忠志(ただし)さん。
1年前の夏、江畑さんと一緒に開催した写真イベントに参加してくれた方だ。
彼も自前の一眼レフカメラで撮影の様子を残してくれたりと、楽しそうに写真を撮る姿や、初対面の方と柔軟にコミュニケーションをとる姿が印象的だった。
つい先日までちょうど自身の夢について考えていたところだそうで、今回100夢への参加を申し出てくれました。
尊敬する祖父の言葉からスタート
忠志さんの出身は大阪。「才能に長けている祖父と祖母がいました。祖父は油絵を趣味で描き、祖母はドイツ語の医学書をそのまま読んでいるような人で」
忠志さんがまだ小さいころ、親戚のおじさまが携えていたどっしりとしたフィルム一眼レフを触らせてもらったことがありました。幼いながらに「世の中にはこんな凄いものがあるんだ」と感じ、撮ることについてお爺様にきいてみたといいます。
すると、お爺様からは一言。
『良い写真は、人間を理解しないと撮れないよ』
「カメラには興味があったけど、祖父がそういうなら“じゃあ今は撮れないか”と妙に納得して。写ルンですが流行っていた頃に少し撮りはじめたものの、本格的にはじめたのは1年前からなんです」
『人間を理解する』
その過程について、ただしさんは自身の経験をひとつひとつ教えてくれました。
自分と向きあって見えたもの
幼少期から、詩や漫画など創作活動が好きだった忠志さん。
中学生の時には声優の学校に通い、高校では演劇部と多彩。
一方で学校に馴染めず、出席日数が足りない時期も。
「ちょうど学校が、家のベランダにあがると見える距離だったんです。チャイムの音も聞こえるけど、行けなくて。学校には行かず、アルバイトばかりしていました」
高校卒業後はスーパーに就職、鮮魚コーナーを任された。
どうして魚屋だったのか、については「モテたかったから」。
「魚について詳しい知識があったり、魚の捌き方を伝えられたらモテそうだなーと思って!」と、ただしさんは明るくいいきった。
そのまま2年間働きますが、ある日突然“このまま人生が終わってしまうのもどうなんだろう"と思いはじめたそうです。
「『人間を理解する』という祖父の言葉が響いていたのかもしれない。意識していないところで、人についての興味を引き起こされていたようで」と、元々人の話を聞くことが好きだった忠志さんは、カウンセラーという職業への興味が湧きはじめます。
そしてついに仕事を辞め、「友達のところに行ってくる」と家族に嘘をつき、夜行バスで東京に何度も通いはじめます。「引き止められたら心が折れそうだったから」と、学校を決め、家をきめ、そこではじめて東京に行くことをご両親に想いを伝えたそうです。
そのタイミングで伝えてご両親は何といったのか伺うと、「あなたらしいね」と笑ったそうです。
忠志さんは学校卒業後、念願のカウンセラーを目指すも、それだけで生計をたてていくのは難しかったといいます。
家族を養っていくための『食べていくための仕事』と『自分が本当にやりたいこと』の狭間でしんどさを感じはじめたときでした。テレアポ、引っ越し屋、ヘルパー、スーパー、営業や事務など、働ける限り働いたそうです。
しかし、職場の人間関係も重なり心のしんどさは徐々に辛くなります。
仕事とは何なのか、働くとは何なのか。
自分の心と向き合い悩みつづけたこの期間は、カウンセラーの学校で学んだことを自分自身を通して確認することができたといいます。
『人を応援したい』と想いが顕著になり始めた頃、小さな思い付きから、女性に好かれるのはどんな男性だろう、と500人の女性へ街頭インタビューをしたこともあるそうです。
当時は、まだ理解できていない女性の心に興味があったこともきっかけに、人の心について更にさらに深く考えるようになった忠志さん。 積み重ねの結果、依頼者からのカウンセリングのセッション料は以前の2倍に上がり、積極的な宣伝をせずとも確実に依頼が増えてきているといいます。
はじめの頃は個人活動で行っていた写真や動画編集も、正式な依頼が増えるように。
初めて会った方に「写真を撮ってほしい」といわれて撮影に繋がったり、つくった動画を気に入っていただいたことで「またお願いしたい」といわれたり。
自分のつくりだしたものが、誰かのためになり、喜んでもらえる。
少しずつそんな嬉しい循環が生まれてきているといいます。
これからの夢
忠志さんのこれからの夢は、その人の個性を生かす動画をつくること。
キッカケは現在彼の周りに経営者の知人が多いという気づきから。
「自分だったらどんなサービスを使いたいかって考えた時に、相手の素顔がわかった上でお願いしたいなと思ったんです。だから、ビジネスの部分だけじゃなくてそれぞれがもっている人柄を好きになってもらえるような動画を撮りたい。その人らしさを詰め込んだ『いつまでも長く使えるCM』のようなものができたらいいなって思います」
行動している人を応援したいと、ただしさんは何度も言っていた。
誰かに必要とされることは、とっても嬉しいことだ。
彼は自身の経験から、孤独を感じている人に向けて『ひとりじゃない』というメッセージを、これからも一人一人に丁寧に伝えていきたいと話してくれました。
忠志さんに選んだ花は菜の花、贈る花言葉は”快活な愛”です。