2017年6月20日、沖縄2日目の朝。

宿泊したホテルの廊下から、DJの軽やかな英語と洋楽が聴こえる。

 

屋上に上がると昨日の嵐のような大雨から一転、南国らしい良い天気。

湿気でレンズが一瞬で曇る。

眩しいほどの太陽が、ヤシの木を照らしている。

今日お会いする方は、備瀬 亮平さん。

 

沖縄で生まれ育ち現在33歳、とーもーさんと同じく、大学時代に出逢ったエイサーの先輩だ。

備瀬さんのSNSは、いつも生き生きとした笑顔で埋まっている。

所属しているフラ(フラダンス)やエイサー団体の楽しそうな集合写真、マラソンやトライアスロンの出場報告、様々なコンテストでの表彰報告も目にする。

 

備瀬さんとも、ゆっくりお話しするのは今回がはじめて。

エネルギッシュな行動力の源を聞いてみたいと考えていた。

 

合流後、昼食をかねてご友人が開いているというオシャレなカフェへ向かいました。

オーナーの男性は、備瀬さんの大学時代の同級生。

 

備瀬さんもオーナーも、大学時代に北海道の大学に国内留学していたそうで、思わぬ場所で北海道トークに花が咲く。

 

そんな話をしているうちに、注文したアボガドパスタが卓に届けられた。

備瀬さんは、注文したタンドリーチキンを「辛いなー」と呟きながら食べている。

 

カウンターの奥のオーナーが「前も同じこといってたさ」と笑う。

 

なんだかすごく、のんびりとした時間が流れている。

 

備瀬さんは朗らかで、場を明るくするのが上手だ。

 

来週トライアスロンに出場するそうなのだけど「肝心のウエットスーツが閉まらなくてどうしよう」など、話の内容も思わず笑ってしまうものばかり。

備瀬さんは過去に、沖縄文化体験学習のスタッフをしていたことがあるそうだ。

 

「県外の修学旅行生を対象に、シュノーケリングをしたり、シーカヤックに乗ってガイドをしたり、漆喰シーサー作りとか三線の講師とか、いろいろやっていたさ」

 

 

また、国際交流NGO『PEACE BOAT』が行う世界一周の船旅に、スタッフとして乗船したこともあるという。

 船内では沖縄の伝統芸能エイサーを教え、寄港した22カ国のうち、サウジアラビア、エジプト、北アイルランド、ベネズエラ、メキシコの5カ国の交流会において演舞披露もしたそうです。

備瀬さんの取り組みは多彩。エイサー、三線、フラ、マラソンなど、毎日、予定がぎっしりとつまっているようだ。 

 

最近は新たに、沖縄で三線の伴奏楽器として用いられることがあるという『胡弓(くーちょー)』という擦弦楽器を習いはじめたそう。

 

「三線はもう弾けるし、周りにも弾ける仲間が多いから、今後仲間と三線と胡弓でセッションできたらおもしろいなーと思って。これまで以上に遊びの幅が広がるさぁ〜」

 

楽しそうに笑う備瀬さんに、日々の練習やスケジュール管理について聞いてみた。

 

「正直、大変。仕事もあるからめちゃくちゃしんどい時もある。

けど、大変さ以上に楽しさの方が上回るし、やった分だけ達成感にも感動にもつながるからやめられないんだろうねぇ。

 

これからも活動を通して出会った人達と、もっともっと色々面白いことをやりたいし、その輪を大きくしたい。感動を共有していきたいって、いつも考えているよぉ。

みんなで何かをするのって、すごく楽しいさあね」

そんな備瀬さんの夢は『人と人とがつながる場づくりを通して、地域を元気にすること』それから『ローカルスターになること』だそうだ。

 

その夢を叶えるためにこれから取り組んでいこうと考えていることの一つとして「老若男女関わらず、誰もがステージに立て、スポットライトの下で輝ける場、普段取り組んでいる成果を発揮できる機会を増やしていく」というのがあるそうです。

 

 

「俺はフラやエイサーを通して色んな人と出会いって、つながって、楽しいことをたくさんやってきた。これからもっと活動の幅を広げていって、踊り手としてだけでなく、主体的に発表の場やイベントを各地域で開催し、人と人とがつながれる機会を増やしていき、地域おこしにつなげていきたいと思っている。

 

若い人だけじゃなくて“おじぃおばぁも参加できるフラの大会”みたいなのがあったら最高さ!

 

みんなで楽しいことして、沖縄の町がもっと元気になったらいいなー」

 

 

 

やりがいをもてる何かがあり、仲間がいて、輝ける場所があること。

 

どうしたら地域がもっと元気になるか、

どうしたら年を重ねても人生にやりがいを感じられるか。

備瀬さん自身が様々な活動を通して、その答えを探しているように感じた。

 

カフェをでて、撮影場所を探しに移動する。

備瀬さんの車からはハワイアンミュージックが流れ、備瀬さんが歌っている。

 

車は首里城方面へと向かう。

石畳道の坂を登った先に、ガジュマルの大木があり、そこで写真を撮った。

 

「この上にもっと大きなガジュマルがあるさ。

せっかくだから行ってみようか」

 

農作業をしていたおじいちゃんに、備瀬さんがガジュマルへの道を尋ねる。

 

「それならここが近道よ」と、おじいちゃんが手作りしたんじゃないかと思うほど簡易的に作られたハシゴを登る。「ハブが出るかもしれないから気をつけなさいよ」と見送られた後、山道を歩く。

こどもの頃の探検みたいだ。汗を滲ませながら歩いた道のりがたのしかった。

 

 

茂みを抜けて辿り着いた先には、大きなガジュマルの木が一本。

 

圧倒されるほど神聖な空気に、ゆっくり深呼吸をする。

 

静かな森の中で、沖縄のパワーを感じた。

沖縄には、空気を変えてしまうほどの神聖な場所が、今もたくさん残っている。

備瀬さんは、植物に詳しい。

この葉はケガに聞くとか、この花は蜜が吸えるとか、進むたびに豆知識が次々でてくる。

 

一緒に歩いていても「あ、なんかいい匂いがするね。なんの花かな」と、

ふらふら〜っと花の香りのする方へ消えてしまう。

 

そんな備瀬さんに散歩中はずっと笑っていた。

この自由さがきっと備瀬さんの魅力なんだろうなぁ。

 

 

太陽の下、のんびりとした時間。

どっちがきた道だったか、二人でフラフラ想いの向く方へ歩く。

 

「あそこでよく三線の練習してたなぁ」

「ここがさ、高校生の隠れ場だったわけよ」

 

思い出の秘密の隠れ場所。三線の練習場所。

備瀬さんのランニングコースの話。

 

懐かしそうに備瀬さんが教えてくれるから、

一つ一つの景色がより大切な場所として目に焼きつく。

 

その後も首里城の近くを散歩したり、珊瑚染め工房を見に行ったりと、

胡弓稽古の時間まで、たっぷり沖縄を案内してくれた。

 

せっかくだから普段の観光では行かないところに、と楽しませてくれた備瀬さん。

沖縄の景色の中に備瀬さんのエピソードが重なって、彼の思い出をなぞっているような、私も沖縄に住んでいるかのような、気持ちのいい時間でした。

この日、備瀬さんに贈ったのはレザーファン。

 

昨日入った沖縄のお花屋さんで見つけた、力強い緑色の葉だ。

 

「ハワイのパラパライに似ているねぇ」

 

備瀬さんの言う通り、後から調べると、レザーファンはパラパライという植物の代用としてフラの装飾に使われている植物だと知った。

 

そして、偶然にも備瀬さんの誕生日と1日違いの誕生花。

不思議な繋がりに縁を感じた。

レザーファンの花言葉は“魅力”。

 

備瀬さんには、周りを笑顔にする不思議な魅力がある。

やわらかくて、陽だまりみたいな空気。

 

備瀬さんの魅力が、沖縄の人や、沖縄に触れた人たちを、

もっともっと元気にしてくれるんだろうな。

 

 

その日の夜、私はゲストハウスで昼間の出来事を思い返していた。

 

きこえるのは、扇風機の音と人の寝息だけ。

 

 

静かな夜に、備瀬さんの明るさは優しい気持ちにさせてくれた。

 

次は、どんな出会いがあるかな。

沖縄に元気を生み出していく人。

備瀬さんのこれからを楽しみに、応援しています。

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