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「消費するだけじゃないエンタメをつくりたいんです」

 

そう語るタチハラ ミナミさんは、当時23歳の大学4年生。

SNSで見つけた100夢に興味を持ってくれて、メッセージをくれました。

 

友人の友人ということもあり、一度会ってみましょうという話になり2018年◎月、自由が丘のカフェで取材をした。

 

待ち合わせ場所に現れた彼女は、背がスラッと高くて綺麗な顔立ちをしている女性だった。落ち着いた雰囲気がありつつも気さくにいろんな話をしてくれて、初対面ということを忘れるほど気持ちよく打ち解けてしまった。

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ミナミさんの出身は埼玉県。

 

「地元は自然豊かなところです。ちょうど今はカエルの鳴き声が賑やかで、

夜、友達と電話しているとうるさいって笑われちゃうくらい」

 

地元の話から家族の話へ。それから、みなみさんのこれまでのことについて聞いてみた。

 

みなみさんは、幼い頃からキャビンアテンダントになることが夢だった。

 

好きだった英語を生かし、外国語学科のある高校を卒業。大学では英文学を専攻し、海外でのインターンシップや留学にも積極的に参加してきた。

 

 

これまで訪れた国は14ヶ国。

韓国やミャンマーなどのアジア圏、ドイツやフランス、イギリスなどのヨーロッパ圏、アフリカはウガンダにも足を運んだ。

 

そんな14カ国の中で最も思い出深い国はどこだったかを尋ねてみると、彼女は少し考えた後「フィリピン」だと教えてくれた。なぜフィリピンが最も記憶に残っているのか、もう少しだけ話を聞いてみた。

 

みなみさんがフィリピンを訪れたのは大学1年生の春休み。

目的は語学研修だったが、衝撃を受けたのは街中の様子だった。

 

「フィリピンで初めて、ストリートチルドレンと呼ばれる子どもと出会ったんです。親のいない、路上で暮らす子どもたち。私は当時アルバイト先がテーマパークだったこともあって、楽しそうに大人と過ごす子どもの姿を日常的に見ていました。子どもは当たり前に守られる存在だと思っていました」

 

だからこそ、ストリートチルドレンを目の当たりにした時は衝撃をうけたそう。「それまで自分が『当たり前』だと信じていたことが、実はそうではなかったんだと、その時に初めて知りました」

 

 

知らなかった現実をもっと知らなくてはいけない。そう考えた彼女は、帰国後再びフィリピンへ。

 

今度は、ストリートチルドレンの支援を行っていた孤児院でボランティア活動を行った。

 

 

そこで出会ったのは、6歳の少年。

 

「日本だと小学校に通っている年齢のはず。でも彼は、たった一人で生きていました」

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「母国語もままならない子でした。彼とは、アルファベットを書きながら ABCの歌を一緒に歌ったりして過ごしました」

 

翌日もその少年はいた。みなみさんをみつけると嬉しそうに駆寄り、ABCの歌を披露してくれたそうだ。

 

「うれしかったです。あっという間に吸収して、自分のものにしてくれた彼の姿を見て“あぁ本当はきっと、みんな一緒なんじゃないか”とその時思いました。なんというか、学習の機会が与えられていなかっただけで、こどもにとっての内に秘めている可能性はみんな平等なんじゃないかと」

 

幼い頃からの夢はいつしか変わり「生まれた場所に左右されず、頑張りたい人に機会が与えられるように途上国支援に関わりたい」と考えるようになります。

[MOU1] 

帰国後、貧困問題を理論と現場から学ぶため、イギリス・ウガンダ・ミャンマーと3ヵ国への留学を実施。現場で支援に携わり働く経験をする中で、一つの答えに辿り着きました。

 

それは「自分が満たされていないと、誰かを支えることはできない」ということ。

 

「シンプルで意外なことに気づかされ、原点に立ち返りました」とみなみさん。

では一体、自分自身の心が満たされるのはどんな時か?

過去を思い返した時、みなみさんにはずっと揺らがず好きなことが一つあった。

 

 

それは、エンターテイメントだ。

 

「私、アイドルオタクなんです。小学生の頃からずっと。

 

中学生くらいから全国各地のコンサートに行くようになって、更にハマって。今週末はコンサートだって思うと、嫌なことや辛いことも頑張ろうって思えるくらい。ただ可愛い格好いいじゃなく、アイドルが頑張っている姿に勇気をもらえるんです。

 

コンサートひとつで何千人と人が動くんですよ。人の心をつかんで離さない引力がエンタメにはあると思っています」

どんな時も、自分の心を弾ませてくれたエンタメの世界。

 

模索する中でみなみさんは2017年にある会社でインターンシップをはじめた。イベントの企画運営を行っているOZONE合同会社だ。

 

ワイヤレスヘッドホンを使用して音楽を楽しむ『サイレントフェス』を皮切りに、SDGsとエンターテイメントを組み合わせた『ソーシャルフェス』と呼ばれる独自プロジェクトを開催。全国各地で年間50以上のイベントの開催や運営サポートを行っている。

 [MOU1]ここのタイミングでイギリス留学(3ヵ国への留学:イギリス・ウガンダ・ミャンマー)をしました。

ですので、たとえば下記のような書き方はいかがでしょうか?

*楓さんの書き方がとても素敵で好きなので、文章は書き換えていただいて大丈夫です!

あくまで時系列をイメージできるようにするための例えなので!笑

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幼い頃からの夢はいつしか変わり、「生まれた場所に左右されず、頑張りたい人に機会が与えられるように途上国支援に関わりたい」と思うようになりました。

 

貧困問題を理論と現場から学ぶため、イギリス留学(3ヵ国への留学:イギリス・ウガンダ・ミャンマー)をしました。

 

しかし、現場で支援に携わり、働く経験をする中で、常に自分の心のなかに隠しきれない違和感がありました。

「わたしが人生をかけてしたいことは本当にこれなのか?」

これまで貧困問題を解決するために逆算して考えたとるべき手段は自分がやりがいを感じられないことであると気がつきました。

「自分が満たされていないと、誰かを支えることもできないと思うんです。

心がワクワクしたり好きなことじゃないと、人は動かないとも思って…」

シンプルで意外なことに気づかされ、原点に立ち返りました。

 

『自分にとって持続可能な方法であること。してあげる支援にならないこと』を軸に途上国支援を考え始めます。

 

留学を経て日本に帰ってきてからは、日本に居ながらも長く息が続く支援の形はないかを考え始めました。

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「2017年にSNSで『誰もが”聴こえる”フェス』というタイトルのイベントページが流れてきたんです。特殊なスピーカーを使用して難聴の方も音楽を楽しめるようにと試みたOZONEのイベントでした。フェスがユニバーサルっておもしろいなぁと思い、先輩と会った時にこの話をしたんです。

そうしたら、代表の雨宮さんとお知り合いということで。先輩に紹介してもらい、インターンシップをはじめることになりました」

 

 

OZONE合同会社が手掛けるのは、誰もが楽しめるフェス。様々なフェスを作り上げている過程は、多くを学ぶ場になっているそうだ。

 

彼女はOZONEで経験した感情を、こんな言葉にして残していた。

 

『交わらないものを意識的にでも交ぜていくことは本当に大事だと思うし、何より音楽やアート、テクノロジーを使った手法は受け入れられやすい。

 

知らないから怖いっていう偏見や他人事感を、こういった交わる機会で壊していくことは本来楽しいことなんだと思う』

 

 

勉強する機会がないから、言葉を覚えられない。

耳が聴こえないから、音楽は楽しめない。

 

外的要因でいろんな機会が制御されてしまうことを諦めるのではなく、これまでになかった方法で一緒に楽しめる方法を考えていきたい。

 

小さい頃から好きだったエンタメの場を、今度は作り上げる側へ。

 

紡ぎたいのは誰もが居心地のいい空間。余韻が残るエンターテイメントを社会に残していきたいと、彼女は話していた。

 

 

「衣食住に比べると、エンターテイメントは無くても生きられるものだと思います。でも、苦しい時にそれがあるから生きていける人もいる。

だからきっと、必要なんです」

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【Mad land fest】—OZONE提供

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【Neo盆踊り】—OZONE提供

「まずは自分の心が満たされていないと、他人のことは助けられない」

みなみさんはそう話していた。

 

 

みなみさんに贈った花は、グラジオラス。

花言葉は『人格的強さ』。

 

凛とした美しさに目を惹かれて選んだ一輪だったけれど、話を一通り聞いた後には、やっぱりみなみさんにぴったりな花だと思えた。

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みなみさんに、今の夢を聞いてみた。

 

「うまく言葉にできないんですけど…

いつか、消費するだけじゃないエンタメを自分でもつくりたいです。

 

ただ盛り上がるだけじゃなくて、社会問題の解決がきちんと根底にあり、参加した後に余韻に浸れるような。誰かの心の琴線に触れるようなイベントをつくってみたいんです」

 

「今はまだ、これからどうなっていくかわからないですが、まずは社会に出ていろんなことを学んでみたいと思います」

 

この春、社会人になったみなみさん。大学生活で得たものは、折れない志。

大好きなエンターテインメントの世界を通して、想いが形になりますように。

これからの活躍を、心から応援しています。

No.58 たちはらみなみ

−心に触れるエンターテインメインとをつくる

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