わたしたち
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一緒にいると陽だまりに包まれているようで、
ずーっと隣にいてほしくなる人がいる。
心が満たされて「さあ、またがんばろう」そんな気持ちにさせてくれる人。
岡田 朋美さん、26歳。愛称「ともみん」。
彼女は私にとってそんな人だ。
ともみんと出会ったのは今から1年前の千葉県いすみ市。「Quantum」のフェス会場、
その日の彼女はスープ屋さんで、私は撮影スタッフだった。
3月の野外フェス。まだまだ寒い天候の中、彼女は温かいスープと持ち前の笑顔で会場を癒していた。

ともみんの生まれは大阪。
育った町は、埼玉・台湾・香港・茨城と
ご両親の転勤にあわせて移りかわり、現在は東京で暮らしている。
彼女の仕事は「ごはんをつくること」。
完全オリジナルウエディングを数々生み出している
CRAZY WEDDINGを運営する株式会社CRAZYのダイニングチームとして、
5名のスタッフと毎日約70人分のランチをつくっている。
私はもともとCRAZYの生み出すものに憧れていた一ファン。
山川咲さんの著書『幸せをつくるシゴト』は、
自分の道に迷った時、何度も読み返し勇気をもらっている私の愛読書だ。
なので、彼女がCRAZYで働くと知った時には、
羨ましさで私までドキドキしてしまったくらい。
今日は1年ぶりに二子玉川のカフェで再会。
ともみんが今の仕事に辿り着くまでに、どんな巡り合わせがあったのかを聞いてみた。

彼女の前職はマーケティング営業。
料理は自分のご飯をつくる程度だった。
忙しく働く日々の中で、仕事を通じて社会のことを広く知っていき、自分が誰かを幸せにするための手段がたくさんあることに気づいていった。
社会人になり、一人暮らしをはじめた彼女のプライベートでの日課は「毎日の朝ごはんをおいしく楽しくつくること」だ。
「毎晩、明日の朝なにをつくるかワクワク考えながら寝て、できあがった朝ごはんを写真に撮ってSNSに載せるのが楽しみだったの。流行りにのって(笑)」
「お母さんが三食ご飯を作ってくれていたから“ごはんを作る”ことは自分にとっては当たり前のことだった。でも、お弁当を持って会社に行くと“毎日ごはんつくってるの?えらいね!”と驚かれたりして。
それで、自分にとっての当たり前は、必ずしもみんなの当たり前ではないってことに気づいたんだよね。
苦じゃなく続けられていることって、そっか、自分の強みだったんだって」

そんな時に出会った存在が、山川咲さんや、村上萌さんたち。
自分の意思を持って生きることを大切にしている女性達に、同じ女性として憧れを抱いたという。
「自分の得意を使って、毎日を楽しいものにしたい。それを仕事にしたい、と考えたときに、私の得意ってなんだろう?と考えていたの。
毎日の日常の中で続けられていることってなんだろう?って。
そうしたらやっぱり浮かんできたのが、毎日わくわくごはんを作ることだった」
ウッドテーブルに飾られたお花と朝食。カフェのような彼女のテーブルコーディネートは、WEBメディアにとりあげられたことも。
彼女のSNSの投稿を見て現職に繋いでくれたのが、現在一緒に働いている友人だったという。

instagram@@tomomi_tlpgds
家族の愛情の深さに気づいたのもそれから。
「お母さんは、昔から3食当たり前に手料理を出してくれたけど、振り返ると、それってものすごい愛情だなって」
長女だった彼女は、我慢強さを求められることも多かった。
「小さい頃は、もっと愛情が欲しいって無意識にずっと思っていた。
両親から愛情注いでもらっていること、頭はわかっていても、心は本当に気付けなかったんだよね。
自分に価値がないと思いたくなくて死に物狂いで頑張っていたけど、前職での仕事や同期・先輩とのやり取りを通じて『愛されている』ことを感じられたおかげで、肩の力がとても抜けた」
そこから、どんなときも人は『愛情を注がれている』と感じられたら、幸せに生きていけるんじゃないかと感じるようになったという。
「一緒に暮らしていた頃には近すぎて見えなかったけど、今久しぶりに会った時にふと両親の顔を見ると、優しく微笑んでいたり、なんていうか、すごく愛情をもらっていたんだなってやっと気付けて。
あんな優しい目で私をみてくれる両親のこと、大事にしたいなぁって思う」

愛情を大事にしながらご飯をつくる。
彼女の大切にしたい思いや、得意を支える仕事がダイニングにあった。
今のお仕事をしていて、ともみんがうれしいのはどんなとき?
「そうだなぁ」と考えながら彼女の目はたのしそう。
「うれしいのはね、二つあって。
一つめは、ごはんをだしたときの、みんなの歓声。キッチンで準備していると『今日は何?』って覗きにきてくれる人もいて、楽しみにしてくれているのが嬉しくて。完成した料理を出した時の歓声にニヤッとしちゃう(笑)」
レシピは彼女が考えているそうで、食べてくれる人の笑顔や驚いた顔をたのしみに、季節の野菜や彩りを考え考案していると教えてくれた。
「ご飯って、人間に戻れる瞬間だと思うの。
わーって忙しく働いて、温かいご飯でホッとする。普段カッコよく働いているみんなの、フゥ〜って緩んでいる姿を見ていると、あ〜頑張ったんだなぁって、なんか嬉しくなるんだよね」
二つめは「みんながおいしいものを食べて自然と健康になってくれること」。
CRAZYでつかうのは無農薬野菜や、こだわりの調味料。
昔ながらの作り方にこだわって調理をしていると、体の良い変化の報告をうけることもあるそう。「食べ物は体に影響するんだなぁって実感してる。だからこれから、おいしく食べて、知らない間に健康になっている人を増やしていけたらいいなあ」
CRAZYの経営の優先順位は、1番が健康。
創業当時から社長が手作りでご飯を作っていて、社員が約70名近くなった今でも社員にはせめてご飯は手づくりで身体が喜ぶものを、と作られたダイニングチーム。
ご飯を食べる人の姿を見ながら、ニコニコしているともみんが目に浮かぶ。

「私はCRAZYが目指すビジョンが本当に素敵だと思っていて。
CRAZYが持っている文化や価値観を大事にし続けながら大きくなることで、世の中はもっと幸せになると思う。
自分の得意なこと好きなことをつかって、それを実現できたらうれしいな」
「自分の心の動く方に向かっていけば、あとは自然と引き寄せられる」
話の中で彼女はそんな言葉を口にした。
運命に導かれるままに。そんなことが言える彼女はとっても清々しいと思った。
昼食に頼んだプレート料理を、一つ一つたのしみながら味わうともみん。
「このお芋サクサクしてておいしいね、みんなのお弁当にいいかも」プライベートでもいつだってみんなのことを考える姿に、思わず笑顔になる。
カフェを出て、撮影スポットを探しに散歩をする。
リフレッシュしたい時に彼女がよく来るという二子玉川は、河川敷の先に広がるビル郡や、広くあたりを抜ける風がとても気持ち良い。
高いところから見下ろす景色が好きという彼女と、景色の良い場所を探す。
「あ、なんか香港みたいでいいかも〜この景色!」
いつの間にか、ともみんのペース。くるくる変わる表情がかわいくて、一緒にいるとカラッと心が明るくなる。
ともみんを見ていると、かわいいなあ、と素直に思う。

彼女に贈った花は、紫と黄色のスミレ。
花言葉はそれぞれ『愛』と『つつましい喜び』。
「当たり前」だと思っていたことって、実はすごく恵まれていることなのかもしれない。
人間的なよろこびや、何でもない日常を愛すること。そんな小さな積み重ねが、愛とか平和とか、大きなものになっていくのかもしれない。
ともみんがそんなことを教えてくれたから、もっと日常にアンテナをはってみようかな、と思えた。
ともみんのごはん、いつか食べてみたいな。
彼女の笑顔と手料理で、これからも沢山の人が笑顔になりますように。